Greeting
代表あいさつ
岩波はつみ
児童相談所による「やりすぎ」と「やらなさすぎ」、目撃者である地方議員がすべきこと 現行法制度の下で起きている不都合な事実を直視し、現行の児童福祉の仕組みを改正する
児童虐待を巡る全国数値からわかること
令和3年度全国統計より、児童虐待相談対応件数は20万8千件と数えられ、10年間で3.5倍へと増加している。これを虐待数が過去最高というように報道され、暴行や置き去りで亡くなるお子さんの報道と相まって、大変なことが起きているという世論が形成されてきた。その世論に支持され、全国の児童虐待対応の予算と体制が一気に増大し、急ごしらえの児童相談所職員体制は勤続5年未満の職員が全体の70%を占め、10年以上のベテランは13%にとどまるという、難しい仕事を経験の浅い職員が担い、そこに権限と責任が集中しているという不安定な実態が分かる。
対応件数20万件とは、子どもの前での夫婦ケンカは心理的虐待、夫婦ケンカ、親子ケンカ、迷子、子どものケガ等々警察から児童相談所への通告強化、一人への虐待は兄弟姉妹への虐待とみなすよう拡大、189の導入「間違いであっても通報を。あなたは責められません」と、疑いのネットワークを大きく、しかも細かに拡大してきたことによる数字である。心理的虐待が全体の60%、警察からの通告が通告全体の50%という数字からもその傾向が分かる。
親子を強制分離させる一時保護の恐怖
児童福祉法33条では、児童相談所長が必要と判断すれば、有無を言わさず一時保護所に子どもを強制入所させることができる。病院から学校から保育園、幼稚園から、ある時、いきなり子は拉致誘拐される。探し回る親元に児童相談所が連れて行ったとの連絡が入る。絶望の日々が親と子に降りかかるのが一時保護。その一時保護を定員超えて行っているのが、千葉県、東京都、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市。一時保護の一人平均日数の全国最長は、令和2年度統計で千葉県の68日。50日を越えている自治体は、山形県、さいたま市、横浜市、川崎市、熊本市。全国平均は33日。子を積極的に収容し、なかなか出してくれない。この間子どもたちは親には会えない、学校にも行けない、自分の服は着れない、教科書も与えられない、施設内で自由にしゃべることができない、職員に聞いても答えはない、極度のストレスにさらされ、人が変わったようになって解除される例が多数報告されている。保護された児童の約15%は施設入所となり、親子面会すら許可されない場合は、完全に切り離され、子は親を恨み諦め忘れる。家族は崩壊する。
目撃者としての地方議員の役割~子の命を救い、かつ冤罪を防ぐこと~
全国で15歳未満の子供の数は1500万人、一時保護される子どもの数5万人で、0.3%。その割合は小さく、その声はなかなか表に出にくい。しかし、ひとたびその事実を知ることになると、日本国内でこんな理不尽なことがあるのかと経験者らは皆嘆く。善良な市民らが虐待親探しの網の目に捕らえられ、浮上できないほどの痛手を子も親も負うこととなっている。こうした実例を当事者からの訴えとして直接知ることになるのが我々地方議員である。しかし、個人情報の壁に跳ね返され、議員としてなす術がない、暗闇で蓋をされていて、何をしているのか、本人でさえも理解できない児童虐待行政であることを思い知るのである。
未熟な組織体制では子の命は救えない。親が我が子を死なせてしまう事件が時として報道されて、この10年間で死亡するお子さんは毎年50人前後と統計が示されている。通報をいくら増やしても、子どもの命を救うことに成功していないことが分かる。一方で一時保護されている子は年間5万人。この中には、勘違いや思い込み、軽微な事案、調査不足による冤罪などが多数含まれていると考える。
私たち地方議員有志は、児童相談所のあり方を考える地方議員懇談会を設立し、私たちがみている事実を明らかにしそれを広く知らせ、国会議員と共に、児童福祉法の原理「保護者は子どもの育成の責任者であり、その家族を公的機関は支えていく」に基づく児童福祉を実現していくために働く。親と暮らす自由、親と離れる自由、意見表明する権利、学ぶ権利等子どもの自由と人権が保障される国家を作っていくために集中して働く決意である。